第5章 『智とかず』 ~櫻井×相葉~
今年もそんな季節かぁ~…
新学期。
ピカピカの制服に身を包んだ高校生が、
街を行きかう頃。
毎年、そんな頃になると、
混合ワクチンと、
狂犬病の注射をしなきゃいけない。
後は、健康診断をして、フェラリアの薬も貰う。
大の病院嫌いな家の『智』は、
俺が何にも言わなくても、
その日は察するらしく、
ソファーの陰から出てこない。
「智!行くよ~、大好きなビスケット、
買ってやるから…ほらぁ~…おいでって///」
「……」
俺は仕方なく、強引に智を引っ張り出した。
その動物病院は歩いて15分くらいのところにある。
リードをつないで歩き出せば、
小さくて可愛い豆柴の『智』は、
行きかう人の人気者だ。
「智くん❤お散歩~?いってらっしゃ~い」
俺には全く声をかけないお姉さんも、
智にはいつも優しく話しかける。
(…なんだよ…そのドヤ顔…)
お姉さんにいいところを見せたいらしい。
智は、リズミカルに歩く。
……お前なぁ(-""-;)
さっきのへっぴり腰、あのお姉さんに
教えちゃうからな~(-“-)
あと少しで病院、というところで、
智は座り込んでピタリと動かなくなった。