第4章 『Crime and Punishment』 ~?×?~
「...あ..雅紀..もう..やめてよ..」
「...潤...素直になれよ...ここ...
こんなにしてるくせに...」
「..あぁ..言わないで..翔に...悪い..」
「...一緒に..地獄に落ちようって..言ったじゃん...」
「...雅紀...ぁ///」
...............
ほら、動くよ...
俺の指...
瞼だって...もう...持ち上げられる...
............
俺は長い長い悪夢から、今、目覚める...
ゆっくり目を開ける...
光が眩しい...
一瞬真っ白な世界で、
何も見えない...
やがて、ぼんやり見えてきた病室の天井...
相変わらず続く、あいつ等の情事の声...
......身体が軽い...
鉛が外されたみたいに、
俺は、動ける...
きっと、二人に対する、
強い怒りと失望が、
俺にあり得ない力を与えてる...
手をついて、
ベッドから起きあがる...
その気配に、
ゆっくりと振り返る、
潤と...雅紀......
「...わあああああぁ///」
慌てて窓際まで後ずさる雅紀と、
「...翔...うそっ...」
呆然と乱れたシャツを直すこともせず、その場で固まる潤...
ゆっくりと、俺は二人を見た...
真っ青な顔で、
瞬きさえできずに俺を見つめたまま、
言葉が出ない二人に、
張り付いた喉から、
縛りだすように、
俺は言った。
「...ただい..ま...」
【 おしまい 】