第19章 『ささのはさらさら scene2』~松本×大野~
【 翔side 】
潤が、恋焦がれてやまない、大野先生に再会して、指輪を交換したと...
それはもう、運命としか言えないくらいの奇跡で。俺は仕方なく試合をほっぽりだしたことを許して。
その代わりに、潤がいつか会ったら渡すって、身に着けていた指輪を受け取った先生の顔を、どうしても見たくて。
強引に着いてきた。
「さとし~!!」
潤が大声で呼ぶと、噴水横の車の前で、手を振っている人が...
ホントにいた!!大野先生だ!!!
「智、翔くんが、どうしても智の顔見たいって...ごめんね~連れて来ちゃって~」
...何甘えた声出してんだよ...(-.-)
「櫻井...久しぶりだね。元気そうだ...親衛隊はいいの?」
「親衛隊??あ...別に...ホントに居たんだ~...いやあ~マジでびっくりしちゃって...」
すると大野先生は、ふにゃっと笑って、
「潤のこと、ずっと支えてくれたんでしょ?ありがとね...櫻井も、大人になって、びっくりしてるよ...」
......3年ぶりに見た大野先生は、一段と綺麗で、なんかちょっと色っぽかった。
少し話してると、潤が、ちらちら俺を見てる。
言いたいことはさ、十分分かってたけどさ、何だか悔しいから、気付かない振りで話してると、
「んんん...そう言えば、翔くん、この後、デートだっけ~??」
咳払いして、白々しく潤が言った。
「そうなんだ...引き留めて、ごめんね...」
...俺って、今日、デートだったか?
ハイハイ...お邪魔虫は退散しますって///
俺は、二人に別れを告げて、一人公園を歩きだした。
......これで俺も、お役目御免、かな~?
振り返ると、幸せそうに、先生にじゃれ付く潤が見えた。あいつのあんな笑顔、何年ぶりだろう?
......幸せになれよ、潤。
今度こそ...
誰よりも...
絶対に.....
「はあ~ぁ、俺も恋人でも作ろっかなぁ~...」
そうひとり呟いて、見上げた空は、
どこまでも青くて、
白い雲が1つ、浮かんでいた。
【 END 】