第10章 『ささのはさらさら』~松本×大野~
【松本side】
明日から我が『嵐が丘高校』の文化祭だ。
嵐が丘高校は、
県下でも有数の進学校で、
俗に言う難関大学へ大勢進学するだけでなく、運動部の活躍も他に引けを取らない。
文武両道を目標に掲げ、
それを実践している、
活気ある男子校だった。
そんな嵐が丘高校は、
文化祭を明日に控え、
生徒たちもいつも以上に張り切っていた。
ニノ「潤!段ボール、こっち持って来てよ~」
雅紀「翔ちゃ~ん!マット運ぶから手伝って///」
俺たち2年5組は、
お化け屋敷をやることになっていた。
このお化け屋敷と言うのが、
実は人気のクラス展示で、
やりたいと手を挙げるクラスが多く、
毎年くじ引きになる。
なぜかというと、
中が暗いというのを名目に、
クラスの連中が交代でお客を
エスコートすることになっている。
近くの女子高の子たちもたくさん来るので、
お目当ての子をエスコートし、
上手くいけば、交際にまで持っていける...
っという、
まあ何とも下衆い、見え見えの企画だ。
しかし、これがウソのように上手くいくから不思議なのもので、文化祭を境にカップルが急増するのだ。
翔「ニノ~、クーラーボックスの氷、
手配してあるよね?」
ニノ「もちろん♪ドライアイスも
バッチリだよ!」
雅紀「さすが、ニノ♪完璧~!」
ニノ「当たり前だよ!
あんたとは違うの!あんたとは!」
雅紀「なんだよ~!そんな言い方、
ないだろぅ~///」
じゃれ始める二人を、回りが止める。
折角のセットが壊されてはたまらないからだ。