第14章 きみどり scene5
やるべきことが一つある。
俺は、事務所に車を走らせていた。
潤も雅紀も意見は一致してた。
あいつが怪しい。
智くんはきづいてないみたいだけど…
あの人は生来のお人好しだから。
まさかニノの一番近くにいる男が、原因だなんて思っても見なかったんだろう。
箱根からまっすぐ東名に乗って都内に帰る。
世田谷で降りて、渋谷に着くと、新社屋へ足を向ける。
あの人はここに居る。
受付を顔パスで素通りして、マネージメント部に顔を出す。
「櫻井、どうした?」
以前、俺のマネージャーをしていたチーフが驚いた顔をしていた。
ちょいちょいと指で室外に誘うと、素直についてきた。
「ニノと智くん、箱根にやった」
「は?」
「ここから離した方がいいと思ったんだ」
「どういうことだ?」
「ニノのマネージャー」
「え?」
「あいつ、訳ありなんだろ?」
苦虫を噛み潰したような顔になった。
「なんでそんなこと知ってる」
「見てりゃわかるよ」
「…カマかけたのか?」
「まあね。ちょっと教えてよ。あいつのこと」
「ダメだ」
「なんで」
「お前が知る必要はない」
「ニノが潰れてもいいんだ」