第14章 きみどり scene5
結局そのまま、黙り込んだかずを風呂から引き上げて…
生乾きのバスタオルで身体を拭いたら、浴衣を羽織った。
そのままベッドルームへ入ると、かずは俺に身体をぴったりとくっつけた。
「一緒に…寝よ…?」
子供みたいな顔して…寂しそうな顔して…
「いいよ…おいで…」
さっきかずが寝ていたベッドに身を横たえると、かずの手首を掴んで引き寄せた。
ふわっと俺に覆いかぶさってくる身体は、やっぱり軽くて…
「たくさん、寝よ…?かず…」
「うん…」
「ここはね、皆がかずのために選んでくれたホテルなんだよ?」
「…え?翔さんじゃないの…?」
「潤も、雅紀も一緒に選んでくれたんだって」
「……そっか…心配、かけてるんだね…」
「ん…心配っていうより…」
「え…?」
「早く、かずに元気になって欲しいんじゃないかな…」
そういうと、かずは目を見開いた。
「元気に…?」
「うん、そうだよ。俺も、そう思ってる」
「そう…か…」
「…そうだよ」
「元気に…俺が…」
今、初めて気づいたって顔だった。
「そりゃ、心配は心配だけど…それよりもなによりも…かずが元気になってくれるのを一番に願ってるんじゃないかな…」