第11章 グレイscene4
競技の取材が終わって、宿泊するホテルに入った。
マネージャーから明日のスケジュールの確認が入って、予め決められていたスケジュールと合わせていく。
「あれ?ここなんで時間空いてんの?」
「あ、ここは競技時間が変更になったそうで、自由時間です」
夜の7時から10時までの間がぽっかりと空いていた。
「そう…じゃあ、ホテルで寝てるかな…時差ボケ酷いし」
「わかりました。そのように手配しておきます」
「え?なんの手配?」
「…晩飯とか?」
「あ、そう。助かるよ」
その日はシャワーを浴びると倒れこむようにベッドに横になった。
寝る間際にスマホを確認したけど、和也から折り返し電話は入ってなかった。
そんなに忙しいのかな…
ちょっと切なくなりながらも眠りに落ちた。
「翔ちゃん…?」
「あれ…和也…」
「今日、出国なんでしょ?準備は終わってるの?」
「あ、うん…」
「そっか。さすが翔ちゃんだね…」
出国する前の晩、ベッドに入って寝ていたら和也が来た。
「ごめんね、起こしちゃって…」
「ううん…会いに来てくれたの、嬉しいから…」
「翔ちゃんを…抱きしめたくて…」
「和也…」
身体を起こすと、和也はぎゅっと俺の身体を抱きしめてくれた。
「向こうで寂しくなったら、いつでも電話しておいで…」
「ありがとう…和也…」