第11章 グレイscene4
「翔ちゃん…頂戴…?」
「えっ…な、にを…?」
「なにって…もう、意地悪…」
俺は相葉雅紀。
そう、俺は相葉雅紀なんだ。
だがしかし。
ここにいるニノは俺のこと”翔ちゃん”と呼ぶ。
「翔ちゃん、今日はそういうプレイなの?」
「えっ…プレイ…」
そう、俺は今、櫻井翔なのだ。
櫻井翔になってしまった…
遡ること数時間前。
某テレビ局の楽屋…
「あれ…このドリンク誰の?」
翔ちゃんがテーブルの上を指す。
そこには見たことない栄養ドリンクがあった。
「俺じゃねえよ?」
「そっか…じゃ貰ってもいいかな?」
「いいんじゃない?そのうち皆帰ってくるだろうし」
楽屋で俺と翔ちゃんはふたりきりだった。
マネも居なくて、ほんとのふたりきり。
「雅紀も貰ったら?」
「え?俺ぇ?」
「この後、ジム行くんだろ?」
「まあ…じゃあ貰おうかな」
ぱきっと二人で蓋を開けて一気に煽った。
「ん!?」
「うげ…なんだこれまっず…」
瓶をしげしげと眺めていたら、身体が急激に熱くなってきた。
「な…なんだこれ…」
「ちょ…雅紀っ…あっ…」
「翔ちゃっ…ああっ…」
伸ばした手を翔ちゃんがぎゅっと握ったかと思ったら、真っ暗な闇に飲み込まれていった。