第8章 いつも貴方がいた -nosa version-
「…櫻井さん。その顔どうしたんですか…?」
「いや…別に…」
リオに行く飛行機の中で、ほっぺたをずっと冷やしてた。
現地までは10時間以上かかるから、きっとあっちに着くまでは腫れも引くだろう。
「にしても…殴ることないだろ…」
怒ってしまって、見送りにきてもくれなかった奥さん…
わかってるよ…
俺の奥さんなのに子供産めないこと、気にしてるって。
だけどさ…
そんなの笑い飛ばそうよ…
楽しく…幸せに生きていこうよ…
カズ…この思い、おまえに伝わるかな…
わかってるよ…
翔さんの思いは…わかってるんだ。
あれだって、謂わばプレイの一環なんだろうし。
だけど、頭がついていかないんだ…
翔さんの赤ちゃんが見たい。
産んであげたい。
その赤ちゃんが成長して…結婚して…子供を作って…
翔さんはおじいちゃんになる…
そんな普通の人間としての楽しみを、俺は翔ちゃんにあげることができない…
男だから…
だから…翔さんがわざとああいったのも、俺が気にしてるから敢えてなんだろうけど…
わかってるんだけど…
「もう!翔のバカ!」
ぼすっとクッションを投げた。
「頭の中、スケベ男っ」