第7章 ショコラscene3
「翔ちゃん…?」
朝日の中、俺の腕の中で眠る恋人の頬に指を這わせる。
昨日、翔ちゃんのバージン奪っちゃった…
なんだか照れくさい…
「起きて?翔ちゃん…」
色白の翔ちゃんの皮膚はすべすべで…
撫でていたら、時を忘れる。
ピンク色の唇にキスを落とすと、翔ちゃんは目を開けた。
「おはよ…」
「おはよ…雅紀…」
ふふっと二人で照れながら笑う。
「さ、翔ちゃん起きよう?」
「え…?」
「今日はさ、オフになったから行長先生のとこいこ?」
「誰…?それ…」
「え?行長先生だよ?」
「知らない…そんな人…」
「翔ちゃん…?」
「いやだ…雅紀、私の名前、美々子だよ?」
「え…」
「もう、忘れたの?雅紀ったら…」
「翔ちゃん…」
翔ちゃんは…俺の腕の中で妖艶に微笑んだ。
汗が噴き出してくる。
知らない…
こんな翔ちゃん、知らない…
翔ちゃん…翔ちゃん…
あの時の…俺が黒になってしまった時の翔ちゃんはこんな気持だったんだね…
どうしようもなく不安で…どうしようもなく悲しくて…
ごめん…ごめんね…こんな思いさせて…
それでも俺と居るって言ってくれて…ありがとう…
だから、絶対…
絶対翔ちゃんを取り戻す。
ぎりっと歯を食いしばった。