第5章 ロザリオ
「翔くん…何してるの!?」
翔くんは黙って俺を咥えて舌で俺の先端を嬲る。
こんなことしてもらうの初めてだった。
あまりの気持ちよさに、思わず目を開けてしまう。
やっぱり何も見えなくて…
「翔くんどこ…?」
「ここにいるよ…」
「見えないよ…翔くんの顔が見たい…」
翔くんは俺の手をとって、自分の顔に当てた。
「ほら…居るだろ…?」
手の先が、温かかった。
翔くんのぬくもりが、ただ嬉しかった。
そのまま翔くんは俺をまた咥えてくれた。
愛撫はだんだんと激しさを増していった。
喘ぐこともできず、ただ息を吐き出しているので精一杯だった。
汗が流れてシーツがじっとりと濡れていく。
不意に翔くんが離れていった。
知らないうちに力が入っていた身体から、力を抜くともうどこにも力が入らない。
目を開けると、黒い影は居なくなっていた。
薄明かりの中に、翔くんの裸体が浮かび上がった。
「翔くん…」
「潤…」
苦しそうな顔をした翔くんは俺の胸に顔を付けた。
そのまま荒い息を吐きながら、手を動かしている。
「翔くん…?」
「潤、俺のこと…見える…?」
「うん…翔くんの顔、見えたよ…」
翔くんは笑った。
あの聖母の微笑みだった。