第4章 ヴェニット
「こんなの…おかしいと思うんだ…だけど…」
ぐいっと袖で顔を拭うと、おーちゃんは前に目を向けた。
「和也を手の中に置いておきたいって…思ってしまって…」
俯いた前髪がおーちゃんの目に掛かって、表情が見えない。
ただ、涙だけがぽたりぽたりと頬を伝って落ちてくるのが見えた。
「あいつが嵐だけで終わるような器じゃないのはわかってるんだ…もっとあいつは役者になるべきだとも思う…だけど…」
「おーちゃん…」
「俺達の…俺の近くに居て欲しい…」
おーちゃんの手が、俺のジャケットの裾を掴んだ。
「そう、ワガママなこと思ってしまって…どうにもならない…」
思わず、おーちゃんの頭を抱き寄せた。
「相葉ちゃん…」
「あ…ごめんっ…」
ぱっと腕を離したけど、おーちゃんはそのまま俺の胸に居て…
「相葉ちゃん…ごめん…」
そう言って、ハラハラ泣くんだ…
もう、俺どうしていいかわからなくなって。
「おーちゃん…俺も…一緒だよ…?」
ほんと、何も考えずに出たのがこの言葉だった。
俺も…ずっと、ニノのこと…好きなんだと思う。
そして、それに確証を持てなかったのは…
そう、おーちゃんのせい。
どっちが本当に好きだか、わからないんだ。