第3章 チェリー・ポップ
そっと、ニノが俺に手を伸ばした。
俺はその手をぎゅっと掴んだ。
ニノはもう片方の手を智くんに伸ばした。
智くんも微笑んで、その手を握った。
「いいの…?二人共…俺のそばに居てくれるの…?」
「ああ…」
三人でぎゅっと抱き合った。
ニノは目を潤ませて俺たちを見上げた。
「俺…二人のこと幸せにできないかもしれない…」
「なんで?俺、かずと一緒に居るだけで幸せだよ?」
「俺も…お前が居るだけで幸せだけど?」
「大野さん…翔ちゃん…」
智くんは愛おしそうに、ニノに頬ずりした。
「お前は、このまんまで居ればいいよ…」
「大野さん…」
俺もニノの腰を抱き寄せた。
「変に気を使ったりしなくていい。そのままでいいから…」
「翔ちゃん…」
お前の心の傷、少しは埋まったか…?
癒やすことができたか…?
「ありがとお…」
そう言ってニノは少しだけ泣いた。
暫くしたら顔を上げた。
満面の笑みを俺たちに向けた。
「お腹…減った!」
そういえば、なんにも食わないでセックスしてた。
気がついたら俺も腹がぺこぺこで…
「ニノの御用達の出前とろうぜ」
「うっそ…時間との勝負だよ?」
「もう風呂入っちゃったじゃん…かず…」
そんなこと言いながら、リビングに向かった。
「あたたた…」
「う…いたい…」
ニノは全身痛いみたいくて、智くんは腰が痛いみたかった。
大変申し訳なく思った俺は、二人に服を着せるのから、出前の注文と全部こなした。
出前がきて、食事をする準備もね…
食事を終えて、寝室で3人で横になった。
天井を見上げながら俺たちは黙って手を繋いでいた。
お互いの熱を感じながら、幸せに浸っていた。
ニノの規則正しい寝息が聞こえて来て、そっと起き上がると智くんも起き上がった。
「翔くん…」
「え…?」
「俺、翔くんのことも…好きだからね…?」
「智くん…」
そっと俺に顔を近づけた。
その唇にキスをすると、智くんは可愛らしく微笑んだ。
「俺も…智くんがほしい…」
「えっ…バージンあげちゃったからなにもあげられないよ…?」
「あっ…えっと…好き…だよ?」
「うん…ありがとう…」
こつんと額を合わせた。
そのまま二人でニノの寝顔を見つめた。
いつまでも、いつまでも。
手を握り合って、見つめてた。
【END】