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カラフルⅢ【気象系BL小説】

第2章 グレイscene3


「指輪入ってたりして」

松潤のその言葉にどきっとした。
ニノの囃し立てる声に、ますますそれが加速した。

智くん…もしかして…

パカっ…

「……。」

俺はそっと蓋を閉じた。
そのまま台の上に伏せて置くと、智くんを見た。
智くんはまた台の上の缶を取って俺に見せた。

缶詰の中には、笑顔の智くんの写真。

”翔ちゃんお誕生日おめでとう”

違う…
俺が欲しいのはそんなものじゃない。

じっと俺の顔をみてる智くんはいきなりこう言った。

「指輪いれときゃよかったぁぁぁ」

ぷっちーん…

何かがキレる音がした。




「お疲れ様でしたー」

中谷さんに挨拶を済ませ楽屋に戻る。
それぞれマネージャーと次の仕事の打ち合わせをしたら、帰る準備に入る。
智くんの背後に回ると、羽交い締めにした。

「ぐがっ!?」
「マネージャー。今日俺、智くんと一緒に帰るから」
「あ、送りしてくれるの?」
「うん。任せて」
「じゃあよろしくね、櫻井くん」
「え?え?翔ちゃん?どうしたの?」

羽交い締めのまま楽屋を出ると、大勢のスタッフさんに挨拶をしてエレベーターまでいく。
不自然な格好の俺たちに、誰もツッコミを入れてこない。
それほど俺の形相は恐ろしかったのだろう。

「ちょ、ちょっと翔ちゃん!?」

智くんの声がエレベーターに響くけど、俺は答えることはなかった。

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