第4章 路地裏の花【一松】
翌日。
いつもより少し早く起きたし、昨日はちゃんと遊んでやれなかったから猫達に会いに行く事にした。
路地裏に着くと猫達が俺に気付いてにゃあにゃあと早く飯をくれと言わんばかりに甘えた声で鳴きながら俺の方へと寄ってきた。
一松「はいはい、今やるから。」
俺はすぐにキャットフードを皿に入れて猫達に与えると猫達は夢中になって食べ始めた。
相変わらずこいつらは可愛いな、見ているだけで癒される。
一松「よし、いっぱい食えよ。」
兄弟達の前ではあまり見せないが、少し口元を緩ませて俺は猫達に微笑みかけた。
その時だった。
トントンと肩を叩かれた。
きっとおそ松兄さんか十四松かと思って普通に振り返ったら目の前にいたのは昨日会った女だった。
一松「‥また来たの?」
すぐに猫達に視線を戻しながら俺は言った。
「昨日はいきなり話しかけちゃってごめんなさい。迷惑でしたよね?‥だから謝りたくて。」
そいつは申し訳なさそうに俺に謝ってきた。
確かに知らない奴に話しかけられた事は驚いたけど、迷惑とか思ってはなかった。
一松「‥別に迷惑じゃない。」
そんな言葉しか思いつかなかった。
「すぐ帰ってしまったから怒らせちゃったかなと思って心配してたんですけどご迷惑じゃなかったなら良かった‥!」
安堵の笑みを浮かべたそいつは何かを思い出したように言葉を続けた。
「あ、あの‥もし良かったらで良いんですけど名前教えてもらえませんか?」
なんだこいつ!こんなクズで燃えないゴミの名前なんか知ろうとしてる訳?意味分かんねぇ!
まあ、別に良いか。名前位教えたって減るもんじゃないし。
一松「‥松野一松。」
そいつの顔を見るとなんとなく嬉しそうな顔をしていた。
「一松くんか‥。私の名前は◯◯です。‥またここに来ても良いですか?」
一松「別に俺の許可なんて取らなくても良いんじゃない?」
◯◯「あ、そうですよね!じゃあ、また週末に来ますね!」
そう言って◯◯は帰っていった。