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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第76章 ヒソップ




「じゃないと、ここでキスするぞ?」
「うぇっ!?」


とんでもない櫻井課長のセリフが聞こえて。

「「!?」」

野瀬と一緒に、また給湯室を覗いてしまった。

何か言い争っているようだが、もう完全に櫻井課長が大野さんに壁ドンしていた。
もうどうみても櫻井課長が攻めですねありがとうございます感謝致しますごちそうさまです。


そして最後に…ちゅっと…
二人はキスをした



フロアに戻ってきた大野さんの顔は、完全に事後ですって顔で…

光源氏が寝不足の息子の顔を見て「なんと見甲斐のある朝寝の顔よ」と言った気分が、本当にわかった。

私も野瀬も、母親気分でそんな大野さんを見ていたと思う。

「ねえ、綾野…」
「ん…?」

ランチで社外に出た瞬間、野瀬は本当に嬉しそうに呟いた。

「良かったね…あの二人…」
「うん…上手くいくといいね…」
「応援、ずっとしてこ?」
「うん。そうだね…」




あれから3年…

今年の夏は、本当にクソ暑かった。


「野瀬ー」
「なに?綾野」

私と野瀬は、もうあの二人を見ることはできない。

「もうあっちについたかね?あの二人」
「どだろね…」

9月10日付で、大きな人事異動があった。
大野さんがニューヨーク支店の本部長として赴任することになって。
櫻井課長も、向こうのマーケティング部長に抜擢されて栄転となった。

一方通行の栄転で、多分二人はそのままアメリカに根を下ろすことになるんじゃないかって噂だった。

結婚フラグですね確実ですね本当にありがとうございました。

「幸せになるといいねえ…」
「うん。きっとなるよ…」

ふふっと野瀬と笑いあうと、窓から空を見上げた。


櫻井課長、大野さん
どうぞお幸せに…

日本から密かに応援してます





もしもニューヨーク支店にまかり間違って、私達が行くことがあったら…
絶対、給湯室を覗きに行こうと野瀬と約束した。





【ALL END】
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