第76章 ヒソップ
「課長…」
「ん…?」
キスの合間に、大野さんが俺を呼ぶ。
「なまえ…呼んでも…いい…?」
「ん…」
「しょ…う…」
「うん…」
「翔…」
甘い声に理性がぶっ飛びそうになる。
細い身体をぎゅっと引き寄せて、もっと大野さんの中…
入りたい
「ど、しよ…」
「ん…?」
「止まんない…」
ずっと触りたくて。
我慢してた。
一年分の煩悩が噴火してる。
「止まらないで…?翔…」
なんでそう…
俺を煽るのがうまいんだ
「あっ…」
腕を引いてソファから立ち上がった。
そのまま、ふたりともはあはあ言いながら見つめ合った。
ここから先…どうしたらいいんだ…
男となんて寝たことない。
「翔…?」
上気した顔で見上げる大野さんは、綺麗で…
「俺も…我慢しないね…?」
「え…?」
ぐいっと腕を引いて、バスルームに向かった。
脱衣所の引き戸を開けて、中に大野さんを押し込んだ。
そのまま壁に押し付けて貪るようにキスしながら、パーカーを剥ぎ取った。
「しょ、う…」
少し抵抗されたけど、止まれなかった。
Tシャツも剥ぎ取ると、俺も自分でTシャツを脱いだ。
無言で見つめ合うと、大野さんが俺に抱きついてきた。
熱い肌が生で触れ合った。