第75章 今日の猫来井さん②
「おはようございます~猫来井でございます~」
猫野さんとのご契約は、週に一度。
朝から一日お伺いしてお掃除からお洗濯、そしてお食事の作り置きを大量にというものでございます。
ですから、一日仕事でございます。
「あれ…?」
呼び鈴を何度か押しても、猫野さんの応答はありません。
しょうがないので縁側に回ってみますと…
「あらっ…」
猫野さんは、縁台に敷いた座布団の上で丸まって眠っていらっしゃいます。
「まあ…こんなところで寝ていたら、日焼けしてしまいます…」
ご先祖と違って、我々猫族は全身に毛皮を纏っているわけではありません。
こんなところで寝ていたら、黒焦げになってしまいます。
失礼して、縁側からリビングに入るガラス戸を開け、フローリングの室内にお邪魔しました。
荷物を置いて、縁側に眠る猫野さんを抱えあげると、リビングのソファーの上に乗せておきます。
「ふにゃあ…?」
あとは勝手に寝るでしょうから、ごあいさつだけして放っておきましょう。
「おはようございます、猫野さん。縁側で寝ると黒焦げになります。また猫本さんに叱られますから、勝手に室内にお連れしましたよ?」
「ああ…翔ちゃんかあ…おはにょ…」