第73章 you have…
「ニノ…ごめん…」
ゆっくりとベッドに近づいてくると、ニノの身体を抱き上げた。
俺の隣に寝かせると、体を離した。
「翔…帰ろ…?」
俺に向かって手を差し出した。
「え…?」
悲しそうに、智の眉がハの字に歪んだ。
「俺のこと…許してくれるなら……」
きゅっと口を引き結んで息を吸った。
「一緒に、帰ろ?翔…」
何を言ってるんだろ…智…
「ごめんな…俺がはっきりしなかったばかりに…」
「智…」
ぼんやりしてるニノの方を智は見た。
「ニノ、ごめん…」
「ちょ、智っ…?」
「今までありがと。俺、出ていく」
「え…?ちょっと待って智っ……」
止めなきゃ…こんなのだめだ!
「翔の家…行ってもいい…?」
時が止まったかのように動けなかった。
「ばっかじゃないの…」
ぼそっと呟くと、ニノはベッドから降りていった。
「好きにすれば?」
そう言ってニノは、寝室から出ていった。
「荷物、後で送ってあげる」
「ああ…」
パタンとドアが閉じられた。
「え…?嘘…」
待って…ニノ、違う…
「翔…」
ぎゅっと智が俺の腕を掴んだ。
「帰ろう。翔…」
「智…」
そっと抱き寄せられた。
「ごめんな…翔…」
「智…」
「これからも…ずっと傍に居てくれる…?」
いいの…?
本当に俺でいいの…?
智…俺の傍に居てくれるの…?
ぎゅっと抱きしめてくれた智の腕
智の匂い…
本当に…?
あなたみたいに何もかも持ってる人が…
俺の傍に、居てくれるの…?
「翔…好きだよ…」
これは夢…?
ああ…でも…
本当は不器用なあなた……
騙すなら、永遠に騙して