第73章 you have…
でも…泣いている場合じゃない。
ちゃんと、ニノの涙止めないと…
誤解だよって…
智は戻ってくるよって…
20分くらいして、ドアが開いた。
ニノはバスローブを着ていた。
「始めよっか…」
「え?」
ボディソープの香りがする。
シャワー…してきたんだ…
「って、え?」
「え?じゃないよ」
バタンとベッドに押し倒された。
「抱いて。翔…」
「え…?」
手が俺のジーンズに掛かって、ボタンを外された。
「ちょ、ちょっと…ニノっ…」
「いいから…」
「よくないっ…」
もがいて逃げようとするけど、こんな華奢なのにニノのほうが力があって、逃げられなかった。
「だ、ダメだって…」
「俺がいいって言ってんの」
「そうじゃなくて…」
こんなことしたら、智が悲しむ。
いや…智だって浮気してたんだから、人のこと言えないけど…
思い迷っていたら、ニノがベッドヘッドの物入れに手を突っ込んだ。
「良かった…まだ智のゴムある…」
「え?」
「ふ…コレ、使わせてもらおうね」
楽しそうにニノは俺を見下ろした。
パッケージを一個取り出すと、俺の頭の横に放り投げる。
「着けるのは自分でやってよね?」
にっこりと小首を傾げて笑った。
「あ、あのっ…んんっ…」
突然口を塞がれた。
ニノにキスされてた。
「んんーっ…」
ダメだって…こんなのヤバイって…
ニノの柔らかい舌が、俺の唇を舐めていく。
あ…このキス…
智のキスと一緒だ
「離せっ…」
思わず手を振り払った。