第71章 ARA通し(?)
「ちょっと翔くん」
「え?」
智さんが眉をハの字にして俺の顔を見てる。
「なんで、目閉じないの…?」
「ふぁっ!?」
俺は今、智さんの部屋にいる。
そして、ソファに押し倒されている。
「目、閉じてくれないと…あの…やりにくいっていうか…」
「えっえっ…俺、目、開いてた!?」
「うん…」
「ご、ごめんなさ…」
慌てて目を閉じるけど、智さんは俺に覆いかぶさったまま、笑いを堪えている。
小刻みに振動が伝わってくる。
「ご…ごめ…なさ…あの…」
「ぶふぉっ…い、いや…翔くんって…意外と大胆なんだね…」
そっと目を開けると、潤んだ目で俺を見下ろしていた。
「だっ…だって…その…」
あんまりまつ毛とその下にある瞳の輝きが綺麗で、見とれちゃって…
部屋の明かりは点いてないんだけど、閉め忘れたカーテンから入ってくる街の明かりが、智さんの瞳に反射して。
そりゃもう綺麗で。
一瞬でも長く見ていないと、勿体無いって思っちゃって…
「なに?だって?」
「えっ…」
は、恥ずかしくなってきた。
そもそも男性に綺麗って…
いや、智さんだからだとは思うんだけど。
「そ、その…」
「また…言葉を飲み込む。悪い癖…」