第67章 プロローグ(仮:めりくり)
ガチャっと扉が開くと、中にいる人が一斉にこちらを振り返った。
「ようこそ、お待ちしておりました」
部屋の中には4人の男が居た。
皆、一様にこちらを一瞥すると、また顔を伏せた。
深紅の絨毯が敷き詰められている室内は静かだ。
ベランダに出られる大きな窓にはレースカーテンが引いてあって、薄っすらと室内に陽の光が差し込んでいる。
暖炉には火が入れてあって、時々パチパチと薪の爆ぜる音がする。
その脇にはぎょろりとした目をした使用人が居て、火の調整をしている。
扉のすぐ横に厳つい顔をした長身の執事が立っていた。
「こちらのお席で暫くお待ちくださいませ」
そう言うと、2人の男達が座っているソファーを指し示した。
「…どうも…」
案内してきた年増の美貌のメイドは、後ろで微笑むと頭をさげた。
「ただいま、お茶をお持ち致します」
そう言って廊下を戻っていった。
執事は扉を閉めると、また直立の姿勢に戻り立っている。
部屋を歩くと、足元の高そうな絨毯が沈み込むように毛足が長くふわふわする。
アンティーク調のソファに腰を下ろすと、すぐにまた扉が開いて、先程のメイドが現れた。
ティーセットの載ったワゴンを押している。