第66章 Thousand of…LOVE
「あ…もう…また…」
乾いた洗濯物を畳んでいたはずなのに行き倒れてる人がいる。
リビングに入ると、ソファに囲まれたラグまでそっと歩く。
ふかふかの白いラグの上で眠ってしまうのもわからないでもない。
床暖が入ってるし、このラグはついこの前ふたりでとっても気に入って買ったくらい、座り心地がいいし。
そっと行き倒れてる人の横に座ると、手から洗濯物を取った。
急いで山積みになってるのを畳むと、その人の鼻を摘んだ。
「んが…」
「ほら、だめでしょ?起きて?」
「智く~ん…」
寝ぼけてるのか、俺に向かって手を伸ばして、寝転がりながら抱きついてきた。
「こ、コラっ…」
「んふふふ…」
幸せそうに笑うと、また眠りの世界に行ってしまう。
「ねえったら…もう…」
起こさなきゃいけないのに、そのサラサラの髪を撫でた。
だって、こんなにしあわせそうにしてるのに起こすのもしのびなくて…
「とうちゃーん」
リビングに和也が入ってきた。
「あ、まーたとうさん寝てるの?」
「ふふ…もう、疲れてるんだよ…」
和也も俺の隣に座り込んで、翔ちゃんの顔を覗き込んだ。
「ぶ…マジでしあわせそうな顔してんなあ…」
来年から中学生だから、生意気なことを言うようになった。
でも顔は相変わらずの童顔で、今だに女の子にも間違われることもある。