第64章 らぶぱれーど-悪魔の囁き-
「ねえねえ、さと…」
悪魔がわっるい顔して耳元に囁く
会社帰り、ニノが話があるって言うから、なんとか翔くんに許可をもらって二人でお茶してるんだけど、一向に本題に入らなかった。
「なんだよ…お茶だけっていうから、遅くなったら翔くんに怒られちゃうよ…」
「んふふ…あのね、ぼく思いついちゃった…」
こんな時のニノはろくなことを考えない。
だから聞かなかったことにして帰ろうかな…
「僕…急用を思い出した…」
なあんてちょっと腰を浮かせたら、ぐいっと引っ張られてニノの隣に座らされたってわけ。
そしたら、耳元に悪魔は囁いたんだ…
「ねえねえ、さと。見たくない…?」
「え?な、なにを…?」
「あのね…」
こしょこしょと耳をくすぐるニノの吐息がくすぐったい。
「ええっ…そ、そんなっ…」
「いい考えでしょ?どう?」
「ど、どうって言われても…」
そんなの、あの二人が許すはずない。
「大丈夫だよ…ぼく達が真剣に頼んだら、お願い聞いてくれるよ」
「そんなわけないだろ…?」
「ふふ…ねえ、一緒にお願いしよ?そしたら、きっと聞いてくれるよ」
「な、何で僕まで…」
「だってぇ…さとがお願いしたら、間違いないもん」