第62章 新・忍びのむに
「家康様には、本当は京に残るよう言われていたんだがな…どうにも無門殿と離れがたくなって…来てよかった…」
「潤之介…」
無門もまた、潤之介の身体に腕を回し抱きしめた。
「こんなに…無門殿がかわいいなんて…」
「やめろ…ばか…」
「ふふ…じゃあ、愛おしい…」
「潤之介…」
「愛おしいのう…無門殿…」
またゆっくりと潤之介の手が動き出した。
滑るように無門の褐色の肌を撫でていく。
「俺も…いとおしい…」
ぴたりと潤之介の手が止まった。
「もう…一回…」
「え?」
「もう一回…言ってくれぬか」
「…いとおしい…潤之介…」
一度吐き出してしまったら、止まらなかった。
そう、無門も潤之介を好いていたのだ。
だから、腹が立っていたのだ。
すとんと無門は理解した。
すきなのだから、しょうがない。
そして、潤之介も自分を好きだと言っている。
何を遠慮することがあるのか。
そっと潤之介の頬を両手で包むと、顔を近づけて口を吸った。
「もっと…無門殿…」
「潤之介…」
「もっと…もっとじゃ…」
何度も何度も、唇を重ねた。
薄い布団の中でふたりは絡み合うように身体を重ねた。