第62章 新・忍びのむに
慌てて潤之介の腕から逃れようとするが、びくともしなかった。
「おま…ちょっと離せよ!」
「離さぬ」
「もおっ!」
どこをどうされたものか、まったくと言っていいほど歯が立たない。
少しだけ潤之介の身体が離れたと思ったら、無門のうなじに熱い息が掛かった。
「ひゃっ…」
「無門殿、教えて進ぜよう」
「なにを!?」
「それは、やきもちと言うのだ」
「は…?やきもちだと!?」
無門は訳がわからない。
潤之介はそんな無門の気持ちが手に取るようにわかるらしく、少し笑っている。
「は、離せよ!なんで俺がおまえにやきもちなぞ妬かねばならぬのだ!」
ぐいっと後ろから潤之介が無門の身体を自分の方へ向けた。
思わず真正面から見た潤之介の顔は、今までみたこともない酷く真面目な表情で、無門は思わず息を呑んだ。
潤之介の手が、燃えるように熱い。
「無門殿は…俺のことが好きなのだ」
「は…?」
呆然としていると、ゆっくりと潤之介の濃い顔が近づいてきた。
目を閉じたまつげが、やたらと長くて…
無門が見とれていたら、いつのまにか潤之介のぽってりとした唇が重なっていた。
「……!」
我に返ったときにはもう遅い。
潤之介の舌が、無門の唇を撫でている。