第6章 ネクタイ
月曜日。
23時になると、テレビの前に座る。
馴染みの音楽が聞こえてきて、愛しい人がテレビに映る。
こんばんは、と頭を下げるその姿。
胸元に目を遣ると、俺は喜びに包まれる。
”ブルーのネクタイ”
今日は、俺の家に来てくれる…
嬉しくて、画面の中の彼に今すぐキスしたくなる。
テレビを通して見てもわかるその艶やかな唇。
滑らかな皮膚。
それを今晩独占できる喜びに、打ち震える。
不意に画面の中の彼と目があった。
その瞬間、彼は唇を”ん”と飲み込み、離す。
半開きの口からは、舌が見えた。
身体がカッと熱くなる。
”たくさん、舐めてあげる”
というサイン。
「翔ちゃん…早く…」
我慢できなくて、画面に映る翔ちゃんを見ながら自分の股間に手を伸ばす。
すでに滾っているそれを握りこむと、ゆっくりと扱き出す。
「あ…お願い…翔ちゃん…欲しい…」
翔ちゃんがいつもするように、自分の口に指を入れる。
指で舌を掴むと、唾液が口角から垂れ流れていく。
それにも構わず、俺は自慰に耽った。
「翔ちゃん…好き…お願い…俺だけのものになってよ…」
画面の中の翔ちゃんは、俺の方を見ない。