第59章 うんち記念日
「とうちゃ…おれ、へんたい?」
「ん。じゅーぶん変態」
「ううう…」
「そんな格好で、しかもうんち見てくれって言ったら、まじで変態だぞ?」
「ううううう…」
ちょっとおとなしくなったから、トイレに戻った。
「ほら、うんちくんにバイバイしような?」
「はあい…」
和也を抱っこしたまま水洗タンクのレバーに身体を近づけた。
小さい手を一生懸命伸ばして、和也はレバーを引いた。
「うんちくんばいばーい」
「バイバーイ」
ジャーと流れていくうんちくんに、二人で手を振った。
「よおし。今日は和のうんち記念日だな」
「うんちきねんび?」
「そうだよ。和が初めてうんちを一人でできた日な?」
「わあ…」
俺の腕で、足をバタバタさせて喜んでいる。
「お、おい、落とすから…おとなしくしてろ」
「んふふふ…」
重くなったなあ…
うんちも一人でできるようになったし…
こうやってどんどん成長していって、いつかは俺の元を巣立っていくんだよな…
「とうちゃ?どうしたの?」
「ん?なんでもねえよ…」
「ないてるの?」
「泣いてなんかねえよ」
嬉しいんだよ…おまえが成長してくれて…
でも…もうちょっと、このまま…
「とうちゃ、おやつ!」
「おお!今日は俺特製のヨーグルトケーキだ!」
「ええ~…よーぐるときらい…」
「あっそ…なら、とうちゃん一人で食うもんね!」
「やー!おれもくう!」
「やらないもーん!」
「やーだ!」
もう少しだけ…
このままで…
【うんち記念日 おわり】