第58章 Thousand of …
「遊んでって言ってるのに…聞いてくれなかったんだもん…」
あなたのシャツに顔を埋めたまま、ぐずぐずと潤は泣き出した。
「ごめんね…?潤くん…」
「カズ…」
雅紀の腕から飛び降りると、和也は潤の手を握った。
「今からあそぼ?」
「…いいの?」
「うんっ…人生ゲームしよ!」
「うんっ…」
弾けるように潤はあなたの腕から飛び出した。
二人で部屋の隅においてあるカラーボックスから、ゲームの箱を取り出している。
急に軽くなった腕を寂しそうに擦って、あなたは苦笑いしてる。
「仲良く遊ぶんだぞ?」
「はあい!」
「雅紀、あと頼んだ」
「わかった。任せて」
頼もしげに頷くと、和也と潤と一緒にゲームの盤面を床に広げ出す。
「ふふ…俺たち来なくても、もう解決できるかな…」
「そうだね」
「早いね。子供の成長は…」
あなたは俺の手をそっと握って部屋を出た。
「あ!明日の弁当当番俺だよね!?」
「え…いいよ。俺、やるよ」
「え?何いってんの?智くん」
「だって…忙しそうじゃん…だから、俺やるよ」
「…何言ってんだよ…智くんだって働いてるんだから、家事は平等にしようって言っただろ?」