第57章 願わくば花の下にて恋死なむ
「待って…二宮っ…」
「ごめんなさいっ…止まらないっ…」
「俺はっ…まだっ…」
「知ってる…知ってるよそんなの…」
松本教授の両腕をベッドに押し付けたまま、馬乗りになっていた。
息が荒い。
心臓がバクバクしすぎて口から飛び出しそうだ。
「代わりでいいから…」
「え…?」
「……俺を……櫻井教授の身代わりにして…?」
思ってもみない言葉が、俺の口から飛び出した。
「二宮…」
「あなたを…抱きたい…」
突然、松本教授の身体から力が抜けた。
ゆっくりと目を閉じると、一筋涙が溢れ落ちた。
「…いいよ…」
「…え…?」
「抱いて…?二宮…」
ゆっくりと俺の名前を言ってくれた。
「…抱いて…」
長いまつげを伏せたまま言うと、俺を見上げた。
まっすぐで、綺麗な瞳だった。
体中の水分という水分が沸騰して…
男同士でどうやってセックスなんてやるかわからないまま、とにかく教授を裸に剥いて、体中にキスをした。
思っていたとおり、白くて透き通るような肌は俺の手に吸い付いて…
肌という肌に触れて、唇を貪った。
腿に、熱の塊が当たってる。
キスしながらそれを握り込むと、教授の身体が弓なりに撓った。