第56章 傾城屋わたつみ楼
グツグツと煮えたぎる血を抑えるのに必死だった。
乱暴に突き刺してしまいたいのを堪えて、ゆっくりゆっくりと智の中を進んだ。
「は…ぁ…しょ、さま…」
「智…」
すっぽりと智の中に入ってしまうと、暫く動けなかった。
「翔さま…?」
「ごめん…気持ちよすぎて、もう出る…」
「…嬉しい…」
気持ちよくしたいのに…
一緒に気持ちよくなりたいのに…
俺のそんな気持ちがわかったのか、智は俺の手を取ると智自身を握らせた。
「ご自分でするように…して…ください…」
「智…」
「もっと…名前…呼んで…?」
泣き出しそうな顔をしながら、俺を抱き寄せる。
「どうしたの?悲しいの…?嫌だった…?」
「違う…違うの…」
「智…?」
手の中の智が熱く膨らんだ。
それが嬉しくて、手に力を入れる。
「あっ…あ…」
少しだけ仰け反るように身体を跳ねさせた。
同時に、ぐっと中に力が入って追い出されそうになる。
慌てて腰に力を入れて突き出すと、手の中の智が汁を垂れ流し始めた。
「智…気持ちいい?」
こくこくと頷きながら、必死に声を堪えてる。
「声を聞かせて…智…」
もっと甘い声が聞きたくて、手を動かし始めた。