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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第51章 【Desire】23 みきちんさまリクエスト


芝生に座り込んで、猫背になってる背中に近づく。
足音立ててるけど、全然気づかないみたい。

「智くん」
「わっ…びっくりしたあ…翔くんか…」
「ふふ…お疲れ。何してんの?」
「ん?文化祭に出す絵のスケッチしてるの。テーマが学校の風景なんだ」
「そっか…もう準備入ってるんだ」
「油絵は乾くの待つからね…時間かかるんだ」
「そうだよね」

喋りながらも鉛筆の動きは止まることがない。
さらさらと紙を滑る音が心地良い。

「あ、ねえ、部活終わったら雅紀とカラオケいくんだけど。智くんも行こうよ」
「うん…」

鉛筆を唇につけて、智くんは少し地面を見てる。

「ニノと…あの…潤も誘わない?」
「…いいよ?人数多いほうが楽しいしね」
「うん…じゃあ、言っておく…」

また智くんはさらさらと鉛筆を動かし始めた。

ほんっと…隠すのが下手だよね…

俺は立ち上がって、黙って生徒会室まで戻った。
生徒会室から、グラウンドを見ると野球部が見えた。

「かいちょー!早く決めてくださいよー」
「んー…」

マウンドに居るのは潤だろう。

目を移すと、渡り廊下の向こうには中庭が見える。
智くんの姿はもうなかった。

きっとどこかから、潤を見てるんだろう。

我ながら、勘の鋭さに嫌気が差す。
こんなこと、気づかなかったら良かった…



俺の好きな人は…クラスメイトが好き






そしてそのクラスメイトは、別の奴が好きで…
そいつはまた、別の奴が好きで。

そしてそいつの好きな人は…俺…


俺達は奇妙なバランスの上に成り立ってる五角形。


そしてこの図形に気づいているのは、多分俺だけ…


崩れないように、壊さないように…
ただただバランスを取って…


俺達はどこに行くんだろう



見上げた空は夕焼けのグラデーション







…君には、何色に見えている?







END

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