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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第49章 【Desire】21 kurisuさまリクエスト


「同情…ですか?」

背後から声が聞こえる。

「あなたらしくもない…」
「うるさいな…邪魔するなよ…」

黒尽くめのスーツに、黒いハットを被った男が近づいてくる。

「近寄るな」
「すいませんねえ…これも僕の仕事なんで…」

そう言うと男は懐から手帳を取り出した。

「でも…この方の命の蝋燭は…あなたが継ぎ足したから…まだ消えませんよ」
「わかってる…」
「でもなんでこの方を救ったんです…この方は、あまり幸せそうじゃないのに…」
「それでも…生きていて欲しいんだ…」
「自分の命を削ってでも…?」
「…ああ…」
「では、行きましょう。雅紀さん…いえ…」

男はため息をつくと、懐に手帳をしまった。

「夢喰らいの貘…」



翔の蒼白の頬に手を触れさせた。

もう…悪い夢を食べることはできない
いい夢を食べさせてあげることもできない

その代わり、俺の命の蝋燭を継ぎ足したから、きっと強い命に生まれ変わることができるよ…


翔…生きて…

生きて、幸せになれ…


おまえは俺のこと怖がらなかった
おまえは俺に名前をくれた


だから…命をあげる…


「さようなら…翔…」







朝の光が、眩しい…

「ああ…僕、生きてる…」

手を天井に伸ばした。
なんだか、身体の調子がいい。

「僕…元気になれるのかな…」

身体の奥が、ふんわりと温かい。
思い切って、起き上がってみた。
身体の奥底から、力が湧いてくるようだった。

「ああ…嬉しいなあ…」


こんな元気になった姿をみたら喜ぶだろうな…


早く、会いたい…
会いたいな…


雅紀…



夜が、待ち遠しい





END

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