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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第48章 【Desire】20 玲聖さまリクエスト


西暦2171年―――

日本は消滅の危機にあった。
政府は軍事政権へと転換し、軍部が日本を支配していた。
過去の大戦の過ちを再び繰り返そうとしている日本を救うべく、反乱軍が各地で狼煙を上げた。

武装蜂起を鎮圧するための戦いは、全世界の注目する中、止むこともなく続いた。

更に世界の大国の政治介入で、泥沼の様相を呈してきた。

”このままでは日本は滅ぶ”

日本各地にちらばる反乱軍の若きリーダーたちは、集結した。
反乱軍を連合させ、軍事政権を打倒するため…

レジスタンス達は大きな勢力になった。
束の間の平和が、日本に訪れた。
均衡した武力では戦闘しても決着がつかず、両軍にらみ合いが続いていた。





さらさらと小川の流れる音がする。
疲れると、ここに来てスケッチブックに絵を書くのが大野は好きだった。

反乱軍が連合し、その統括に就任したのは先月のこと。
もう絵筆を持つような時間はなかった。

寸暇を惜しんで、身分を隠し、鉛筆を握って今の東京の風景を書き留める。
それが唯一のこの男の癒やしとなっていた。

東京は、反乱軍と政府軍の支配する地域の入り乱れる場所。
そして唯一不戦を約した場所。

それでも毎日、どこかで小競り合いは起こる。
壊れていく東京の風景は、この男の目にはどう映っているのか…

「綺麗な絵だね…」

いつの間にか、大野の後ろに男が立っていた。

「ああ…ありがとう」

男は微笑むと、大野の横に座り込んだ。

「いつまで…この風景がみられるのかな…」


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