第42章 【Desire】14 ぽっぷさまリクエスト
社会人一年目。
恋人ができた。
しかも同じ社内で、同期。
あいつはゲイで、俺は同性寄りのバイ。
この出会いは奇跡だと思った。
だって…普通の社会で出会うのは難しい。
俺達みたいな趣向を持った男は、然るべき場所に出向いて然るべき相手としか番になることはできない。
だけど…
俺達は出会った。
奇跡だと思った。
入社式の前から、研修は始まっていた。
毎日めまぐるしく動く環境に、なれるのが精一杯。
新入社員には寮(という名の普通のアパートだが)が割り振られて、そこに帰ったら寝るだけの日々が続いた。
4月も中頃になって長い研修が終わって、同期はバラバラになった。
「営業1課に配属されました松本です」
「同じく二宮です」
そこで一緒の課になったのがあいつだった。
遠目でも目立つ濃い顔。
俺はと言うと、地味キャラを自認してる。
だから、こういう派手なやつと組まされる事が多い。
例に漏れず、配属先もこいつと組まされることになった。
ひと目見たときから、そうじゃないかなとは思ってた。
ゲイには特有の雰囲気がある。
だけどたまにノンケでもそういう雰囲気を纏ってるやつがいるから、気をつけないといけない。