第41章 【Desire】13 ガーベラ♡さまリクエスト
「えっ…おい…二宮!?」
ボロボロボロボロ
涙が溢れた
「何で泣いてるんだよ…」
「うっ…えっ…ごめんなさ…」
我慢しようと思えば思うほど、止まらなくて…
ブレザーの袖で涙を拭ったら、急にその腕を引っ張られて近くの空き教室に入れられた。
椅子に座らされて、大野先輩は僕の顔を覗き込んだ。
「…二宮…?」
ああ…この声の響きも…好きだ…
離れても…会えなくなっても…
きっと僕、先輩のこと好きだ
ずっとずっと好きなんだ
これが僕のほんとの初恋なのかなあ…
そう思ったら、伝えたいと思った。
きっと振られるけど…
でも、大野先輩なら微笑んで許してくれるような気がした。
男なのに、男の大野先輩を好きになった僕を…
ぐいっと袖で涙を拭いた。
「先輩」
「ん?」
心臓がありえないくらいバクバク言ってる。
でも言わなきゃ…勇気を出して…
がんばって、目に溜まる涙を拭いながら先輩の顔を見た。
「好きです」
先輩が驚いた表情を浮かべた。
そして、すぐに目を逸らした。
そうだよね…美術の先生とつきあってたんだもん…
先輩が僕のことなんとも思ってないのはわかってる。
「い…今まで…仲良くしてくれて、ありがとうございました」
ぺこりと頭を下げて、教室を出ようとした。
「二宮!」
急に大きな声で名前を呼ばれてびくっとした。
振り返ったら、真剣な顔をした先輩が居た。
「一緒に来て」
「先輩…ここ…」
「俺んち。入って」
学校から3駅先。
大きなマンションだった。
もう訳がわからなかった。
お家に上がって連れて行かれた部屋。
多分、そこは先輩の部屋だ。
「先輩…」
先輩は何も言わずに、部屋の中央においてあるイーゼルを指差した。
回り込んで大きなキャンバスを覗き込んだ。
そこには、僕の横顔
引っ込んだはずの涙が、また溢れてきて。
視界が涙でいっぱいになった瞬間、大野先輩の腕が僕を抱きしめた。
「先に言うなよな…バカ…」
冬の記憶のフォルダは…
大野先輩でいっぱいになった
END