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ヘブンズシュガーⅡ【気象系BL小説】

第39章 【Desire】11 智の心さまリクエスト


その夏、俺は宮城にある母方のじいさんの家に居た。

よくある話だ。

企業に就職して、35歳までバリバリと働いていたが、あることがきっかけで会社に居づらくなり退職した。

辞めるまでの間、俺は居ないものとされていた。
なにもすることもなく、新聞のスクラップを取っていた。
一ヶ月の間、俺の神経は徐々に弱っていって。

会社を辞める日、首を吊ろうとしたけど家族に助けられて死ねなかった。

暫く精神病院に入院させられた。

日がな一日、鏡の付いた塀に囲まれた運動用のグラウンドのベンチに座っていたら、自分は生きているのか死んでいるのかもわからなくなった。

居ない敵とずっと戦ってるおっさん。
なにが気に入らないのかわからないが、一日中怒ってる貞子みたいな女の人。

ここにいるのは、人間なんだろうか。
人間の皮をかぶった、他の生き物なんじゃないだろうか。
だとしたら、俺もそうなんだろうか。

俺は一体なんなんだろう。

何度も医者やカウンセラーと面談して、やっと俺は退院できることにはなった。
だが、退院してみたら俺は立派な廃人になっていることに気づいた。

死ぬ気もないが、生きる気力もない。

ただ流されて生きていたら、母親が宮城のじいさんのところにいけと言ってきた。

そのまま流されて、俺はここにいる。

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