第37章 【Desire】9 mimimamaさまリクエスト
「俺も…キスして…」
思わず口をついて出た言葉に、自分で驚いた。
「え…?翔くん…?」
智くんが驚いた目を俺に向ける。
「いいから…俺にもキスしてよ…ねえっ…」
止められなかった
止まらなかった
「和也もっ…俺にキスしろよっ…」
「翔ちゃん…落ち着いて…」
「俺は落ち着いてるっ…早くっ…早くしろよっ…」
本当は俺も…
二人と愛し合いたかったんだ
「お願い…抱いて…お願い…」
俺と…奈落に落ちてよ…
「好きだよ…翔くん…」
ああ…智くん、嬉しい…
「ずっと好きだよ…翔ちゃん…」
もっと…もっと欲しい…和也…
「俺も…ずっと好き…智くん…和也…」
二人の熱を、俺は身体で受け止めた―――
「ねえ…やめようよ智…」
「今更…止まれんの和也」
「だって…こんなことしたって翔ちゃんは…」
「大丈夫…手に入るよ…」
「智…」
「体も心も…きっと俺達のものになるから…」
ごめんね…翔ちゃん…
ごめん…翔くん…
和也と智くんの謝る声が、聞こえる気がした
「上手く、行った?」
「ああ…ありがとうな」
「そっか…じゃあ、俺たちお役御免だよね?」
「すまなかったな、潤…雅紀」
「いいんだよ…翔がこれで元気になるなら…」
「俺も…見てらんなかったから…あの二人が付き合うようになってからの翔ちゃん…」
「これ、受け取って」
少し分厚い封筒を潤と雅紀に差し出した。
「…いらない」
「俺も…受け取れないよ…」
そう言ったけど、二人の胸に押し付けた。
「これは…契約だろ…?」
じっと二人の目を見ると、諦めたのか封筒を受け取った。
「じゃあ、またな」
「ああ、ありがとう」
「また…飲みに行こうな…5人で」
そう…これは契約…
あのお人好しの二人に、あんな大胆なこと思いつくわけがない。
じれた俺は、こいつらに頼んだんだ。
―――俺のこと手に入れたかったら、身体を奪え
そう、年月をかけて吹き込んでもらったんだ…
まさか強姦されるとは思わなかったけど…
でも…
俺の願いは、叶えられた
仄暗い奈落の底から見上げていた光―――
やっと、手に入れた
もう、離さない
離してやらない
END