第35章 【Desire】7 チェックさまリクエスト
大野side
さらさらと前髪が靡くのを見てるのが好きなんだ…
放課後の体育館。
用もないのに、俺は観客席に座ってる。
第一体育館のコートは、バスケ部とバレー部が今日は使ってる。
男バスは今日はミニゲームしてる。
3on3って言うんだっけあれ…
そんなに興味を持って見ているわけじゃないけど、毎日眺めてたらなんか覚えてきた。
体育館の中央にはグリーンのネットが張られてて。
それを境目にバスケ部とバレー部は分かれて活動してる。
その緑のネットにボールを追いかけて駆け寄る男が居た。
そのネットの向こうには…女バレのキャプテン。
その男は、なにやら話しかけて楽しそうに笑ってる。
女バレのキャプテンは顔を真っ赤にしながら、ネット越しに彼の胸を叩いた。
カッとした
見ていられなくて、そのまま体育館を出た。
一階のトイレに駆け込むと、顔を水でじゃぶじゃぶ洗った。
…こんなことしてたって…
この気持ちに気づいてもらえるわけでもない。
それに…
気づかれたらマズい。
「大野先輩…?」
はっと鏡を見上げると、俺の後ろに彼が立っていた。
「気分でも…悪いんですか…?」
「い…いや…」
違うと言っているのに、彼の手は俺の額に付けられた。
「熱は…ないみたいだけど…」
「だからなんでもないって言ってるだろ?」
手を振り払ってトイレを出ようとした、その瞬間
いきなり後ろの個室に突き飛ばされた。
蓋の締まった便器の上に尻餅をついた。
「なっ…何すんだよ!」
「毎日毎日…うっとおしい…」
「え…?」
「あんた、俺のこと見てたんだろ…?」
「ち…違う…」
ぐいっとネクタイを引っ張られた。
「正直に言えよ」
「ち…がう…」
「ふうん…?」
そのまま引っ張られて思わず立ち上がる。
その瞬間、俺の唇は柔らかいもので塞がれた。
「ん…ぁ…」
「正直に言ったら…もっとしてやるよ…」
そのガラス玉みたいなきれいな目に吸い込まれた。
「あ…おまえを、見てた…」
「いいこだね…」
また、唇が塞がれた