第34章 【Desire】6 はりん燈汰さまリクエスト
「ようこそ!Club Kaiserへ!」
今日も花の匂いが漂うフロア。
薄暗いフロアには、夜の皇帝たちが今夜も女たちを従えている。
「きゃああ!翔ちゃん!今日もカッコイイ!」
「潤くーん!今日はピンドン入れるからね!」
女たちは今日も皇帝たちに、その手のひらで踊らされてる。
「ハーイ!雅子お嬢様からピンドンご注文です!」
「今日は雅子、もう一本いれちゃおっかな…」
「ふふ…雅子、無理すんなよ。もう一本入れても、俺のはいれてやらねえからな?」
「やああんっ…潤くんっ…」
「ハーイ!智子お嬢様からもピンドンご注文入りました!」
「うふふ…翔ちゃんのためだもん!」
「智子…俺はそんなことしてもらわなくても、智子と一緒に旨い酒が飲めるだけでいいんだよ?」
「やああんっ…翔ちゃんっ…」
今日も、ナンバーワン同士の熾烈な争いが始まる。
「くくっ…」
思わずおかしくなって、トレイで顔を隠して笑ってしまう。
だって俺、知ってんだよね…
時々、トイレだと言って居なくなるナンバーワンの二人…
トイレで一体なにしてんだかねえ…
スマホを取り出すと、画像フォルダを開ける。
そこに出てきたのは…
毎日のようにトイレでキスを交わす、トップ二人の姿。
もうすぐ、見習い期間が終わって、皇帝に昇格になる…
その時…この証拠の画像さえあれば…
あの二人を追い落とすことができる。
「ホモがホストなんかやってんじゃねえよ…」
二丁目いきゃあ、もっと適当な店あんだろうが…
見てろよ…
俺は、この店の
いや、この六本木の皇帝になってみせる。
「それまで、せいぜいいちゃついてやがれ」
ナンバーワンは、この俺だ
END