第30章 【Desire】2 すぃさまリクエスト
智はというと、なんだか気まずそうにしている。
「な~お?」
潤が、智どうした?と聞くがもごもごと言って答えない。
「にゃおん?」
なによ、あんたなんか知ってるの?と和也が迫ると、智は後ずさって後ろのふすまに頭をぶつけた。
「あお~…」
し、知らないっという智は、とても怪しすぎる。
「にゃお…にゃおにゃ…?」
正直に言ったほうが身のためだよ?と和也が智に迫る。
「にゃにゃっ…」
その時、雅紀が呻き出した。
かと思ったら、突然布団に噛み付いて立ち上がった。
「にゃふっ!?」
「にゃおっ!?」
「な~ふ!?」
どうしたのだと問うても答えず、雅紀は布団を咥えたまま座敷の隅に身体を移動させた。
ぐしゃぐしゃになった布団の上に寝転がると、更に呻く。
「にゃおんっ!?」
雅紀、どうしたんだよお!?と和也が駆け寄ろうとしても、ふーっと威嚇して近寄れない。
これは一体どうしたことなのだ…
「にゃふっ…にゃふっ…」
雅紀、雅紀と呼びかけてみても、呻いていて答えない。
「にゃにゃにゃーーーーっ」
一際大きい叫び声を上げてかと思うと…
「にゃあっ!?」
出産が始まった