第29章 【Desire】1 あにゃさまリクエスト
ガシャン
静かだった教室に、一斉に響く音。
黒板に向いていてた身体を、生徒たちの方に向ける。
クスクス笑う声
にやにやしながら、俺を舐めるように見る視線
「櫻井せんせー。筆箱落としちゃったー」
「俺もー」
「私もー」
そう言って生徒たちは、一斉に立ち上がって好きにし始めた。
そのうち、授業のことなんか忘れてプリントを丸めてキャッチボールを始めるものや、おしゃべりに興じてるもの…
それを見ても、止める気にもならなかった。
やがて、教室のざわめきが最高潮に達する頃、教室に学年主任や教頭が飛び込んできた。
「一体何をしている!?」
屋上は、静かでいい。
「櫻井先生、なぜああなるまで放っておかれたんですか」
「担任としての自覚はお持ちなんですか」
「あの子達は来年受験を控えている大事な時期なんですよ」
「生徒を導くのが我々教師の役目ではありませんか」
しらない
あんな奴らが、将来路頭に迷おうが…
俺には関係ない
勉強しないやつが悪いんだ。
授業を聞かないやつが悪いんだ。
なんでもかんでも教師のせいにして…
自分の子供の出来が悪いのは、自分の責任だろう。
親が責任転嫁してるのがわかってるから、子どもたちも教師を舐めるんだ…
正直、あんな親の小型化した生徒なんて、可愛くもなんともない。
俺の生徒という気が全くしない。
「死ねばいいのに…」