第24章 BOY【N side】 EP.3
社長は微笑むと、ゆっくりとした動作で俺を抱き起こした。
するりと腕からバスローブを外してしまうと、素っ裸の俺をぎゅうっと抱きしめた。
「好きな人とシたことある?」
「え…?すきな…ひと…?」
「ないでしょ」
「わかんな…」
「今日だけでいいから…俺と恋人ね…?」
「こい、びと…?」
「そう…」
身体を離すと、俺の顔を覗き込んだ。
「好きだよ…和也…」
心臓、止まるかと思った
「あ…しゃちょお…」
「智…俺のこと、智って呼んで?」
「さとしぃ…」
思わず抱きついていた。
ぎゅうっと腕に力を入れると、自然に俺の口から言葉が漏れ出た。
「すき…智、すき…」
ああ…惚れちゃったのかな…
たった一瞬で恋に落ちるなんて、作り話だと思ってた。
だけど、あるんだ。
本当にあるんだ。こんなこと…
でも…智は…俺のこと…
ほんとに好きなわけじゃないんだよね
「ああ…もう、そんなこと言ったら…本気になる…」
「え…?」
「和也、かわいい…」
「智…」
幾人もの男に、そう言われた。
自分でもわかってる。
だけど、この時…
智に言われたこの言葉は、本当に嬉しかった。
「ほんとに…かわいい…」