第13章 サトチェルとニノリン
「ねえねえサトチェル~♡」
「なあにぃ?ニノリン?」
「あのねぇ、これ、食べて欲しいの」
ニノリンの手にはハート型のクッキー缶。
「なにこれぇ~ニノリンの手作り?」
「うんっ…サトチェルのために、頑張ったのぉ♡」
「ニノリンっ」
「サトチェルっ」
ぎゅうっとニノリンの身体を抱きしめると、甘いクッキーの匂いがした。
「あ~んして…?」
クッキーの缶を開けて、ハート型のクッキーを取り出したニノリンは僕の口元に持ってきてくれた。
「あ~ん」
唇にクッキーが触れる。
唇を閉じようとしたら、すいっとクッキーは無くなった。
「あんっ…」
「あははは~サトチェル引っかかった~」
「も、もおっ…ニノリンのいじわるっ!」
ニノリンの手に握られているクッキーを奪おうと、ニノリンの身体に触れた。
「あっ…」
急にニノリンが真っ赤になって動かなくなった。
「えっ…どうしたのニノリン?」
「ううん…なんにもないの…」
「でも…お顔が真っ赤だよ?」
「なんでもないもんっ…」
ドンっと身体を押されて、僕は後ろの壁に頭をごつんとぶつけた。
目から火花が散った。
「いたああい…」
「あっ…ごめんねえっ…」