第12章 しあわせはここにある-parallels-Ⅱ
「あーあ…ニノ、疲れてんね…ちっとも起きない」
「昨日、何したの…?」
くすくす笑って潤がからかって来る。
「ん…愛し合ってたの…」
潤と雅紀は目を合わせると、少し顔を赤くした。
「そっか…しあわせだったんだね。智くん…」
翔くんが俺を抱きしめた。
「うん…しあわせ、だよ…」
潤と雅紀も微笑んで、俺の頭を撫でていった。
「さ、今日は病院だよ。準備しようね?」
「わかった…」
翔くんが俺を抱き上げて寝室を出た。
雅紀と潤は和也を起こしてる。
「後で風呂連れて行くから、先入ってて」
「わかった」
翔くんは返事をすると、バスルームへ俺を連れて行く。
お姫様になった気分で、そのたくましい腕に身を委ねる。
「智くん…」
「うん…?」
「いい顔、できるようになったね…」
その声は…少し震えていて…
俺は翔くんの顔を見られなかった。
「そう…?自分じゃわからないな…」
「凄く…綺麗な…笑顔だよ…」
綺麗…なんかじゃないよ…
でもね…
皆が居てくれるから…
こんな汚れた俺でも、しあわせのカケラを掴めるかもしれない。
綺麗な青空を飛んでいけるかもしれない…
「さ、洗ってあげるからね…」
俺の髪に翔くんが鼻先を埋めながら言う。
「ありがとう…」
俺の…俺達のしあわせは…
すぐ、目の前に…
「連れてきたよー」
振り返ると雅紀の腕に抱かれた、俺の深い愛が居た。
潤が一つ、その額にキスを落として微笑んだ。
ひとつ、息を吸い込むと小さな声で囁いた。
「ねえ…皆で一緒に暮らしたい」
翔くんの温かい笑顔が、見えた。
【parallelsⅡ END】