第9章 夏の終わり
僕らは映画館を出た。
「おもしろかったね。」
「…うん。」
恋愛モノだった。
面倒な内容だった。
「ハッピーエンドで良かったぁ~」
僕は、ちょっと気に入らない。
「ユウスケ君、怒ってるでしょ?」
ナナミちゃんが僕を覗き込んだ。
「僕は、推理モノが見たかった。」
ナナミちゃんが、
クスクス笑った。
「何で笑うの。」
「だって、感動シーンなのに、凄い睨んでスクリーン観てるんだもの。」
またクリクリの丸い目で
僕を見た。
「ありがとう、付き合ってくれて。」
満面の笑顔だった。
今日、僕は、何度もこの笑顔を見た。
「女の子、って、こんなにかわいいんだな。」
少し前を歩いているナナミちゃんには
聞こえてないようだ。
「ね、ユウスケ君。」
パッと振り返り
「東京に帰っても、連絡してもいい?」
僕は、断る言葉が見つからなかった。
でも、面倒に思わなかった。
「今日はありがとうね。楽しかった。」
「映画は僕の希望じゃなかったけど。」
「ごめんね、今度はユウスケ君の好きな映画ね。」
僕の腕を、そっと触れた。
「…うん。」
僕は、自然に返事をしてた。
ナナミちゃんは、次の日、
東京に帰って行った。