第3章 雨
「…その場面さ、もう少し乱暴な感じ。」
新入部員が固まってる。
どうやら、怒られてる、と
思っているようだ。
ただ、思った事を言ってるだけ。
チラと、2年の稲葉を見た。
あー、ハイハイと言わんばかりの顔だ。
「部長は怒ってるんじゃないよ?」
一生懸命、新入部員を和ませながら、
指導している。
「やっぱり苦手だな…」
「そんな事はない。」
後ろから声がした。
守山先生だ。
「何がダメな事、大切な事は伝えてる。
それを後輩は理解してる。だからこそ、
その下の後輩に伝えられてるだろ?」
さっきまで固まっていた新入部員、
もう笑顔で発声練習をしていた。
隣で一緒にやってる稲葉の声が
デカくて、たまらない。
「稲葉。…肩から声が出てる。お腹から出てない。」
ヤレヤレ…
まだまだやる事たくさんだよ。
ふと、窓の外を見ると、
雨が止んでいた。