第16章 僕達の感情
カナは、学校の体育館に来ていた。
ケイタとは、部活は違えど、体育館で一緒に過ごす事が多かった。
合宿で、重なる事もあり、ユウスケよりも、一緒にいたかもしれない。
去年の夏を思い出した。
「…あの、カナ先輩。何か、噂があるんですけど…」
後輩は、バスケ部の同級生に聞いた、と。
噂の内容を聞いて、私は言葉を失った。
…これは、私からは、なかなか聞けない。
単なる噂だとしても、これは…
聞くに絶えないおぞましい内容だった。
ケイタの様子を見計らって、内容をだいぶ
はしょって聞いてみたが、
「そんな訳ないだろ。心配するな。」
と、頭を撫でられて終わらせられた。
もう、それ以上聞けなかった。
私がユウスケに相談していれば…
あの頃は、守山先生との事もあり、
あまり余裕はなかった。
守山先生にも相談出来なかった。
…ケイタ…ケイタ…ごめん、ごめんなさい。
私は、涙を流したまま、バスケのゴールに
目掛け、シュートを続けた。
いつも、シュートを決めていたケイタ。
プロに行く道が待っていた。
無念だろう。
あんなに頑張ったのに。
…ケイタ。ケイタの分も頑張るよ。
心に決め、1本のシュートを決めた。