第15章 僕たちの行方
スマホを確認すると、
ナナから何回も着信があり
LINEも来ていた。
カナが連絡したらしい。
『東京を夕方出ました。20時には、隣街に着きます。またLINEします。』
『連絡出来なくてごめん。迎えには行けないけど、病院わかるよな?着いたら連絡して。下の待合室で待っていて。』
ガラス越しのケイタを見た。
夕方からは、主治医と看護師が
付きっきりで、処置をしている。
ケイタの意識は戻る気配がない。
…目を覚ましてくれ。ケイタ。
僕は、集中治療室の前の椅子に座り、
目を瞑った。
少し瞑っただけなのに、ひどい睡魔に
一瞬で襲われた。
(…ユウスケ)
寝ているのか、起きているのか、
意識が朦朧とする中、
意識の片隅から、声が聞こえる。
(ユウスケ。母さんが泣いているんだよ、泣くな、って、言ってくれよ。)
…何言ってんだよ、そりゃ、一人息子が
意識不明になんてなったら、泣くだろ?
(…時々、母さんに会いに行ってくれよ?)
待て、何言ってんだよ、目を覚まして、
すぐ元気になって、東京に行ってバスケするんだろ?プロになるんだろ?
うっすらとケイタが微笑むのが見えた。
(…ユウスケ、頼んだぜ。今のお前なら、頼もしいよ。)
待て…
待ってくれっ
待ってくれ!
「ケイタ!!!」
自分の叫び声で
ハッと気が付いた。
周りがバタバタし出した。
僕は立ち上がり、集中治療室のガラス窓に
張り付いた。
少しこの場を離れていたカナが慌てて戻って来て、僕の隣にきた。
ガラス越しでは、主治医がケイタの胸を
必死に押している。
近くでは、看護師が電気ショックの機材を構えていた。
ケイタの母さんがケイタにすがりつこうとしているのを、ケイタの父さんが抱き止めている。
僕らは、
大切な時間が止まる瞬間を
目の当たりにした。
ケイタは、目を覚ます事もなく、
死んでしまった。