第9章 友達と恋人の境界線
ー和也sideー
潤父「全く情けない奴め」
潤「………」
潤父「生き恥を晒す位ならそのまま死ね。役立たずが」
潤「………」
俺は入口で立ったまま、黙って拳を握り締める。
潤父「おいお前」
「は…はい」
組長の目が…ギラリと俺に光る。
潤父「お前は何の為に大野組に居るんだ。あ?遊びか」
「いえ…ぐっ!」
いきなり拳で殴られる。
潤「てめぇ!何してんだよ!!」
横になっていた潤さんが起き上がろうとする。
松本組長「うちの奴らは役立たずばかりだな!!」
潤「当たるなら俺に当たれ!!和也は俺の言う通りにやってるだけだ!!」
潤父「役立たずが何言ってる!!」
潤「がっ…!」
「組長!」
組長の拳が潤さんに飛び、慌てて止めに入る。
潤父「お前が役立たずだから昇龍会会長の座を奪われたんだろうが!!いつもいつも…あんなチビにやられやがって!!松本の恥さらしが!!」
「組長止めて下さい!!」
ベッドの潤さんに馬乗りになり…組長は何度も潤さんを殴った。
潤父「はぁっ…はぁっ…」
暫く殴り続けた後、気が収まったのか組長はベッドから降りた。
潤父「これ以上失望させるな。また同じ様な事になれば…松本組は継がせない。出て行け」
そして組長は部屋を出て行った。
「ぼん…!」
ベッドに倒れ込んだままの潤さんは…顔が腫れ、鼻血を流していた。
うっすらと…目に涙を浮かべて。
潤「出て行け。見るな…」
俺は何も言わずに…ハンカチで血を拭った。
潤「いいから出てけよ。惨めな思い…させるな…」
「嫌です」
潤「和也!」
「嫌だ!」
俺はそのまま身体が動かせない潤さんに抱き着いた。
潤「………」
「………愛してます。どんな姿の貴方でも…だから…俺には見せて下さい。ありのままのぼん…貴方を…」
潤「………」
「愛されなくてもいいから…愛させて下さい…」
両手でそっとぼんの顔を包み込む。
潤「………どこまで従順なんだ…お前は…」
「………ぼんの為なら…どこまでも…」
そのままそっと…潤さんの唇に口付けた。